大吉 その1 凛 「ヤッフゥー! グゥゥレィィトォ!」 「素晴らしいわ。あなたの人生に――  殺・血・悪・霊!」 「ああ憎む、嫉む! あなたの幸福が妬ましい!  わたしのお財布に少しお裾分けするといいわ!」 その2 凛 「めでたや、やれめでたや。  ……って、嬉しい事が起こりそうなのはこれからか」 「よかったね。  しばらくワクワクできるだけでもめっけものよ」 その3 セイバー 「すばらしい運勢です。  自身に胸を張り今日を歩き出してください」 「そしてできれば、その幸せをどなたか近しい人に分け与えてあげてください。  あなたはより豊かになれるはずだ」 「では、いってらっしゃい」 その4 セイバー 「よかったですね。あなたの日ごろの善き行いを、神はしっかりと見ておられますよ」 「この国には八百萬(エイト・ミリオン)もの神がおわすそうだ。  彼ら神々の厚き加護が賜られることを、わたしからも願います。  では巫女らしく――」 「カシコミーカシコミーモース」 凶 その1 凛 「まさか”凶”とは……参ったわね……」 「なんでも、十秒以内に画面をプリントアウトして木に結び付けて、  くじを引き直せば無効になるらしいけど。  それもいさぎ悪いし。ていうか無理だし」 「まあ、このへんで手を打ちなさい。  そうね、こう思うといいわ。  『ああ”大凶”が出なくて本当によかった!』」 その2 凛 「わたしが、ついてるから。  わたしはね。うん」 その3 セイバー:に――逃げましょう!      君子危うきに近寄らずと申しますし      嘘を貫き通せばいつか真実となるように、逃げ切ることができれば、      待ちかまえていた凶事など存在しなかったも同然です      一顧だにせず駈けゆくあなたの後ろ姿は美しい 凛:……励ましたい気持ちだけはわかるけど。   立ち止まってるよりはマシってこと? セイバー:そ、そうですとも?      さすがは凛です その4 セイバー 「さあ、これが逆境というものです。  吉凶禍福はあざなえる縄の如し」 「たとえ今が辛かろうとも、  敢然と立ち向かえばいつか必ず良き思い出となります」 大凶 その1 凛 「昔の人は言ったわ。『なるように、なる』」 「こうなったらおとなしく貴方の未来を運命に明け渡すがよいでしょう」 「そうね、この心境を言うなれば……」 「未払いの年貢はきっちり納めて力の限り”さじ”投げて、  服従の証拠に仰向けにゴロンと寝ころんで、  そのまま白装束で褌締めて清水の舞台から飛び降りるが如し!」 その2 凛 「だ、大丈夫っ。根拠はないけどすごく大丈夫!  気をしっかり持って!」 「……あぁ、やば。ごめん、駄目かも。  あまりにも濃厚な不幸オーラにあてられて、こっちがフラフラしてきた。  貴方もフラフラしてない?」 「何なら気つけに一発ナックルパート――  いっとく? いっとかない?  ダブル? トリプル?」 その3 セイバー 「………………ふ……  ふ……ぁ……あふ……むぅ……  ……!」 「……す、すみません。昨夜は遅かったものですから。  ボンヤリしておりました。ええと……何吉が出たのか、  いま一度お尋ねしてもよろしいですか?」 「先頭に”大”がつくが……”吉”ではないと?  ということは大……辛(カラ)? 大……盛?」 その4 セイバー 「心中、お察し致します。  しかし厄難ありとて、明鏡止水の心構えで乗り切る意気込みが大切です」 「とても無理です……と?  そんな軟弱なことでは困る!」 「着替えて三分後に道場に来られるよう。さあ早く!  ハリー!」